サハリン残留ろう者 日本訪問支援

平沼ニコライさん

サハリン残留ろう者・平沼ニコライさんの
日本訪問をご支援ください。

 日本サハリン協会では、NPO法人UPTAINが行っているサハリン残留ろう者(聴覚障がい者)の一時帰国(日本訪問)支援事業に協力しています。現在、サハリンのコルサコフに住む平沼ニコライさんは1944年に当時の内幌、現在のゴルノザヴォーツクに生まれました。幼いころに亡くなった実の親は日本人だったといいますが、耳が不自由だった彼は親から出自についての情報を得ることができないまま育ち、唯一の手掛かりだった書類も失ってしまったため、日本人であることを証明する手段がありませんでした。75歳になる今日まで日本人として生きてきた彼は、言葉が通じないため、ほかの残留日本人とも交流することはありませんでした。しかし去年、日本から来たろう者団体と出会うことで、生れてはじめて心から(手)話ができる同胞と巡り合うことができたのです。
 平沼ニコライさんの日本訪問にどうぞ暖かいご支援をお願いいたします。

<募金方法>

ゆうちょ銀行口座へのお振込みをお願いします。
なお、お振込み後には必ずメールかFAXで住所氏名をご連絡ください。
NPO法人UPTAIN E-mail : npo.uptain@gmail.com FAX 03-5393-7288

【振込先】 特定非営利活動法人UPTAIN
ゆうちょ銀行  18550-24118691
ゆうちょ銀行以外の銀行から振込の場合は 店名 八五八(ハチゴハチ)店番 858 普通預金 2411869


サンプル動画  
「サハリン 樺太に生きて」

この動画について/北海道に住むろう者、村川健雄さん(78歳)は2019年、75年ぶりに祖国(樺太)の土を踏みました。その様子と他の樺太出身たちの戦争体験やサハリン残留ろう者、平沼ニコライさんの話などをまとめた予告編です。制作:NPO法人UPTAIN

概 要

平沼ニコライさんについて

 現在コルサコフ(大泊)に在住する平沼ニコライさんは、1944年、日本人も多く住んでいた炭鉱の町、内幌(ゴルノザヴォーツク)に生まれました。内幌の炭鉱で働いていた実の父親は平沼さんが3歳の時に亡くなり、その後、母親は朝鮮人の男性と再婚しました。生まれつき耳が聞こえなかった平沼さんは、聴者だった母親とも話をすることができずに育ちました。平沼さんが周囲の人からの助言で聾学校に入学したのは11,2歳になってからのことでしたが、平沼さんが聾学校の寄宿舎に入っていた13歳の時にその母親も亡くなってしまったため、両親の出自のことなどを確認することはできなかったそうです。
 聾学校で文字と手話を習った平沼さんは、夏休みに帰省した際、実の親の「ヒラヌマ」という姓と「日本人」と書いてある書類を見つけ、自分が日本人であることを知ったといいます。しかし、学校を卒業して家に戻った時には、すでに母は亡くなっており、その書類も失われてしまっていました。学校卒業後も、耳が聞こえず、話しができなかった平沼さんがほかの残留日本人と付き合うことはなく、サハリン日本人会の存在も知りませんでした。残留日本人への一時帰国支援に関しては、日本政府からサハリンの障がい者団体にも情報がもたらされましたが、その障がい者団体にろう者は入っていなかったということです。ろう者はその障がいのために世の中の情報から取り残され、多くの不利益をこうむりながら、見た目や運動能力が健常者と変わらないために、必要なサポートを受けられないことが多いのです。平沼さんは自らを日本人と信じて生きてきましたが、そのアイデンティティを誰かに認められることがないまま今日に至ったというわけです。そして去年、日本人ろう者たちとの出会いという、彼の人生に全く予期しなかった出来事が起こり、今回の夢にまで見た祖国、日本への訪問へとつながったのです。

平沼ニコライさん

支援までの経緯

 2018年7月。協会に1人のろう者(聴覚障がい者)からのメールが届きました。送ってきたのはNPO法人UPTAINの理事長 高波美鈴さん。国際手話の通訳や観光ガイドをしているという彼女は、3月にアメリカ在住のロシア人の紹介で初めてサハリンに旅行したということでした。そしてその際に交流したロシア人のろう者たちから、残留した日本人ろう者が5人いることがわかったという情報を得たというのです。残念ながらこのうち4人はすでに亡くなっており、コルサコフに住む平沼ニコライさんという75歳の男性だけが生存していることがわかったので、日本サハリン協会で彼の一時帰国を支援してもらえないか、という相談でした。
 高波さんは8月末に手話通訳とともに協会を訪れましたが、9月には仲間たちとサハリンを再訪して平沼さんと面会、さらに詳しい情報を得てきました。高波さんからの情報をもとに、協会でも10月にサハリン日本人会事務所で平沼さんの面接調査を行いました。しかし残念ながら、彼が日本人であると証明するものが残っておらず、現段階では国からの一時帰国支援を受けることはできないことがわかったのです。
 公的支援による一時帰国ができないことが明らかになり、UPTAINのメンバーはあらためて自分たちが寄付を集めることで、彼の一時帰国を実現しようと動き出しました。呼びかけは今年3月から始まり、日本サハリン協会としても、彼らの呼びかけに協力することにしました。

 訪日はいよいよ10月18日に決定。東京のほか、広島や京都などを回って、各地のろう者とも交流する予定ですが、費用がまだ足りません。みなさんも、ぜひご協力ください。

平沼ニコライさん

平沼ニコライさん日本滞在スケジュール

10月
18日(金) 成田空港14:35着 ➡ 東京 (東京泊)
19日(土) 東京駅 ➡ 新幹線(車窓より富士山を見る) ➡ 広島 (広島泊)
20日(日) 広島(講演交流) (広島泊)
21日(月) 広島(原爆ドームなど見学) ➡ 京都 (京都泊)
22日(火)~25日(金) 京都&奈良観光 (京都泊)
26日(土) 京都(講演交流) ➡ 新幹線(車窓より富士山を見る) ➡ 東京 (東京泊)
27日(日) 東京(講演交流) (東京泊)
28日(月) 東京観光 (東京泊)
29日(火) 成田空港16:50発 ➡ サハリン

なお、滞在中の取材等につきましては日本サハリン協会斎藤までご一報ください。
E-mail: h.saito@sakhalin-kyoukai.com Mobile: 080-4182-1956

NPO法人UPTAINについて

 国内外のろう者たち、家族、支援者を対象にして、ろう者コミュニティ情報交流の場と利便性向上のために普及事業、啓蒙事業などをおこない、ろう者の情報社会づくりを目指して、2018年5月に設立。
とくにアジアの発展途上国のろう者について、暮らし、労働、教育などさまざまな支援を行う。聴者によるとは異なり、ろう者による支援は、お互いのコミュニケーションがとりやすいというメリットから、きめ細かな対応が可能である。UPTAINでは、そうした理念のもと、ろう者同士による支援の輪を広げる活動に力を入れている。
さらにその先に、国際手話の普及による世界各国のろう者との交流を目指し、設立と同時に最初の交流の場を求めたのがロシア・サハリンのろう者団体だった。
 そこで出会った人たちから、サハリン残留ろう者が生存していることを知らされたが、残念ながら日本人であることを示す証拠が何もなく、国費での一時帰国はできないことがわかった。UPTAINでは、彼がろう者であったばかりに、日本人コミュニティからも疎外され、情報が届かなかったことは、ろう者の抱える問題点そのものであると考え、彼の支援とともに、その人生の記録を作成するべきであるとして、今回のプロジェクトを立ち上げた。
URL https://npouptain.wixsite.com/deafworld

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