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サハリン(樺太)・旧ソ連大陸残留邦人のための共同墓所(慰霊碑)

 戦前樺太に渡り、終戦後、様々な事情で日本に引き揚げることができなくなったサハリン(樺太)残留邦人の一時帰国事業が1990年に始まり、その後、多くの方が永住帰国を選択し、日本各地に定着しました。定着当時は年齢的にも若く、希望を持って日本での新たな生活を築いていた方々は年を重ねるにつれ、経済的な理由から個人で高額な墓を購入することのできず「死んだらどうなるのか」という不安を募らせていました。ちょうど前協会(日本サハリン同胞交流協会)から私たち日本サハリン協会が事業引き継いだ2012年頃のことでした。その頃、長年の夢をかなえて永住帰国したにもかかわらず、日本に墓がないために、遺族が遺骨をサハリンに持って帰らざるを得ないケースも発生していました。終戦後も異国の地(しかも対戦国)で筆舌に尽くしがたい苦労に耐え抜いてきた方々が、終の棲家としてやっと戻ってきた祖国。ともに苦労した仲間が集える安住の場としての墓所を建設したいという思いで、私たちは共同墓所建設に乗り出しました。サハリン残留を余儀なくされた皆さんは、戦後日本の高度経済成長期を経験できなかったばかりでなく、バブル期にはロシアのペレストロイカで物資のない最も悲惨な状況下に置かれていました。そしてやっとのことで一時帰国ができるようになったころには、すでに高齢になってしまっていたのです。失われた時間は計り知れません。それでも最後の望みは、日本の土に還ること。そして、次の世ではサハリンでともに苦労した仲間とともに安らかに過ごすこと。共同墓所はその場を提供するだけでなく、ながらく存在すらも忘れられていた方々の苦難の歴史を後世に伝えていくための記憶をとどめる場としても存在しているのです。
 親族がここに葬られた方ばかりでなく、サハリン(樺太)残留の人々やその歴史に思いを寄せてくださる方にぜひお越しいただきたいと思っています。また樺太残留の歴史をご存じなかった方にはぜひここで出会っていただければと願っています。建設以来、お墓の清掃や花の手入れなどを永住者がしてくださっています。「いずれ自分たちが入るのだから」と関わってくださった世代が歳をとり、今は親を見送った2世世代が管理してくださっています。日本に帰ることができずに亡くなった方については、自由に海を渡り国境を越えられる魂だけでも日本に、との思いで、墓碑銘に名前を刻ませていただいています。皆さまもぜひ一度、お参りください。札幌市郊外の眺めのいい墓苑です。

①墓所概要
 霊園名 : 藤野聖山園 〒061-2271 北海道札幌市南区藤野901番地(☎011-592-1350)
 施 工 : 山崎石材工業(株)(滝川市二の坂町東1-2-1 ☎0125-23-2708)
 設置主体: NPO法人日本サハリン協会
 建設費用: 総額約400万円(墓石代及び建設費・墓所使用料・管理費等)
 墓所面積: 5平方メートル
 賛助金 : 193名より 総計5,060,243円(2016年4月10日現在)  

デザイン: デザインに関しては協会役員と永住帰国者会員が建設チームを作り検討。いわゆる日本的な「墓」ではなく、宗教民族に関わらない「記念碑的な」デザインとすることにして、山崎石材工業に発注したものです。サハリンの一般的な墓は土葬で、まわりには草木が生えていることが多いので、永住者からは墓碑の脇に花を植えられるよう、小さな花壇を作って欲しいとの要望がありました。これにより、周囲の墓とは異なる優しい空間が出来上がりました。
墓石は台座部分を合わせて高さ2.1mのタワー型(色はブルーパール)。左右2つの部分からなっており、それぞれが日本とサハリンをイメージしています。2つの石の間の先端には、日本とサハリンを「隔てる海、つなぐ空」をイメージさせる青いガラスを埋め込みました(4cm厚キャストガラス)。さらにそれぞれの石には日本とサハリンを自由に行き来するカモメ(ロシア語は「チャイカ」=日本サハリン協会の会報名にもなっています)が彫られています。長い間、わずか43kmという距離に隔てられて親きょうだいにも会えずに苦しい生活をつづけた方々の今までの困難を想い、安らかな未来を祈る形です。
墓碑の左右側面に設置した刻銘板には、この墓所に納骨された方だけでなく、無念にも異国の地で生涯を終えた残留者の魂を祖国に還しこの墓所に収めた方々もその名前を刻んでいます。さらに墓碑背後には日本語とロシア語でサハリン残留の歴史と共同墓所建設経緯を刻んだ碑文を建立し、台座には寄付者(2016年4月10日現在)を刻銘しました。
なお納骨は札幌で行われている一般的な形式を採用し、骨壺から木綿の晒に移した遺骨を墓石下の土に埋めています。木綿は3年ほどで、遺骨は20年ほどで土に還ります。

②建設経緯
 2015年11月初旬  基礎工事開始・募金呼びかけ開始(目標額400万円)
 2016年1月    募金が目標額に達する
 2016年5月14日 「日本初の残留邦人のための共同墓所」落成式典並びに残留邦人慰霊祭

③共同墓使用条件等
 「日本サハリン協会」永住者会員とその家族、または「サハリン日本人会」の会員
 会員であれば使用料は無料。ただし納骨や刻銘については、定めに応じて霊園または山崎石材店に支払う。
 2025年3月31日現在 納骨者数 14柱、 刻銘者数 57名

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2016年4月8日発表のプレスリリースを公開しています。 > プレスリリース資料(PDF)

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引き続き、墓所維持管理のため、皆さまからのご支援をお願いいたします。

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多くの方々からお寄せいただいた賛助金は、目標額の400万円を達成することができ、予定通り共同墓所が2016年5月に完成することになりました。ご協力いただきました皆様には心より感謝申し上げます。


なお、賛助金につきましては建設費相当の目標額に達しましたので 4月10日をもちまして受付を終了させていただきました。

<維持管理基金への寄付のお願い>

建設のための寄付は目標額に達しましたが、今後はこの墓所を維持管理していくための基金が必要となります。皆様には引き続きご支援をお願いたします。 
詳しくはこちら

<寄付者名の刻印について>

賛助金受付終了に伴い、墓所に設置する寄付者名一覧への刻印も一旦締め切らせていただきました。今後、この墓所に関していただきましたご寄付につきましては会報にてご報告させていただきますのでご了承ください。

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残留邦人のための共同墓所が、全国優良石材店の会の
「ニューデザイン特別賞」を受賞

5月に完成した共同墓所が、一般社団法人全国優良石材店が毎年行っている「ニューデザイン お墓写真コンテスト」の特別賞を受賞しました。お墓を作ってくれた山崎石材店の山崎社長から、「応募してみては?」と声をかけていただき、残留邦人の歴史とともにお墓ができる過程やエピソードを書いて写真とともに応募したところ、特別賞を受賞したものです。
全国優良石材店のHPで紹介されています。
> 詳しくはこちら




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